2009年2月山行記録

3.厳冬期の富士山(御殿場口)

Date:2009年2月2日(月)
装備:ピッケル、アイゼン
Time:
◆2月2日(月)/晴れ(下は雲)
御殿場口太郎坊洞門駐車場(1280m)205−410二合五勺(1950m、アイゼン着)420−725六合小屋(2840m、パン)740−935七合九勺(3310m)940−1145御殿場口頂上−1150富士宮口頂上(3720m、昼食)1230−1715駐車場1745=足柄SA(夕食)=2030自宅
(d=往復230km)
Notes:
前回の下見をうけて、2月1日に富士山頂上アタックを計画したが、発達した低気圧の通過により1日は強風になり富士山の登山日和でないため、1日延期して2日にした。ちょうど移動性高気圧が来るため登山日和となりそう。月曜日だから、入山者はいないだろう。
御殿場口太郎坊洞門横の駐車場に前夜9時すぎに着いたが、やはり車は1台もなかった。ゆっくりと気兼ねなく寝れそうだ。驚いたのは雪が減っていることだ。先月末にかなり降ったと思っていたが、当てが外れた。雪があれば最初からアイゼンを着けて行こうかと考えていたが、ザックにくくりつけて行こう。
3時出発、2時起床予定でいたが、12時半頃に目が覚めた。少し早いが1時頃に起き出し、出発準備に取り掛かり、2時過ぎに出発した。出発前に1台車が来た。登山者かと思ったが、聞いたところ宝永山に行くボーダ−で日の出の写真を撮るために早く来たそうだ。

2時に出発したのは良いが、暗くて周囲が見えず、下見をしたにもかかわらずかなり迷った。まず、大石茶屋へ入るために右に上がるところを通過し、二ツ塚の方に入ってしまい、あわてて右にトラバースして登山道に合流しようとしたが、昼間なら何十メートル間隔かにある道標柱に気がつくはずだが、月のない夜は暗くて何も見えない。このあたりと思われるところから方位と傾斜を頼りに雪の斜面を登るが、どうも道らしきものに出会わない、二合八勺の石室も見えない。こうなったら磁石と富士山成就岳(空は晴れていて見える)をたよりに登ることとし、傾斜が少し急になりだした1950mでアイゼンを着けた。前回は大砂走りを登ったが、今回はその右にあるブル道を登るつもりでいたので、右よりに進路を取る。すると血痕がアイゼンの形みたいに続く足跡に出会った。これは怪我をした人が上から降りてきたのであろうと推測し、これをトレースすることにする。かなり右より須走側に来ていることはわかるが、とにかく日の出、明るくなるのを待って、位置を確認するしかなさそうだ。
午前6時43分、その日の出がやってきた(左下写真)。左に宝永山が見える、2700mに近い。その手前に御殿場ルートの夏尾根道の小屋が見える(右下写真)。気温は−15℃ほど。

日の出 左に宝永山を望む

上を見ると、左上に小屋が点々と見える。御殿場ルートの小屋だ(左下写真)。まずは最初に見える小屋を目指して左上にトラバースだ。これでルートがはっきりした。やはり相当に須走り側に来たようだ。
着いた小屋(右下写真)は六合の小屋だった。パン1個のハーフ昼食にする。2840m、ここまで5時間少々、前回同じく昼食にした大砂走りルートの六合小屋跡が見える。

御殿場ルートの斜面と小屋 六合小屋

六合小屋からは七合五勺の小屋を目指す。七合には寄らず、左上トラバースの続行だ。アイゼンのよく効く気持ちの良い斜面が続く。左に鉄柵が見えてくる。七合五勺からは八勺、九勺と小屋が続いている。八合付近では鉄柵に沿って歩いてみる。3400mの少し上に長田尾根の分岐がある(左下写真)。鉄柵のある尾根道と左の沢筋ルートの分岐です。左沢ルートを選ぶ。ここからは最後の登りで、一部足が潜るところがあるので、最後の苦労は時間がかかる。左下写真の正面が富士山成就岳、その左の弛みが御殿場頂上で、そこを目指す。そして、延々9時間40分かかって右下写真の御殿場頂上の鳥居に着いた。

長田尾根の分岐 御殿場頂上

富士宮頂上に移動する。浅間神社奥宮(左下写真)はいつもと変わらないが、11月に比べてやはり雪が多い。記録写真を撮れるカメラの置き場所を探す。何とか苦労して1枚撮れた(右下写真)。そして、神社前くぼ地の風のこないところでパン1個のハーフ昼食。気温は−18℃程度で、それほど寒くはない。

富士宮頂上浅間神社奥宮 富士宮頂上にて

時間が経っているので、剣ケ峯には行かないことにして、写真のみ撮った(左下写真)。富士館前を見るとかなりの積雪になっていることがわかる(右下写真)。

富士山剣ケ峯 三島岳と富士館

12時半に御殿場口より下山にかかったが、先は長いし、アイゼンを引っ掛けないように、ゆっくりと慎重に下る。午後からは雲も出てくるし、ルートを間違えないように。六合からの下りは鉄柵沿いにブル道を真っ直ぐ下る。三合目で雲の中に突入、先がまったく見えなくなった。一時休憩したが、見えるようにはならないので、朝と同様に磁石と斜面に従って出発、須走り側の沢筋に入りかけたところで現在位置が判明して、右に移動して登山道に合流して安心できた。昼間だから登山道ということがわかる。駐車場に着いたのは17時を過ぎていた。お疲れ様の15時間でした。

駐車場の車は雪で被われていて、それが凍っていた。帰りの道路にはほとんど雪は残っていないのだが、一部雪のある箇所で、道路端の排水溝に頭を突っ込ませた車が2台もあり、びっくりした。レッカーが移動作業中だった。

富士山を厳冬期に1日で単独で下から登ってみる。やりがいのある挑戦であり、下見をして登り9時間とみて、出発時刻を決めた。夜間歩行に伴う迷いもあったが、2時に出発して、12時前に頂上に着けて、非常な安心感をもたらした。例えば、3時出発だと13時半からの下山となり、下では真っ暗になる訳だし、それがあせりに繋がると、三合目での思わぬ先が見えない状況に追い込まれた場合など、よろしくないことが起こる可能性もある。あの状況は想定外でした。
いずれにしても厳しい挑戦でしたが、頂上で天気が良くて何事もなかったことは、富士登山の第一はまず天気の良い日、風のない日を選ぶことに尽きると思います。そして、ちょうど60才になった今の体力を把握し、あるスピードなら10時間のアタックも可能なんだと認識でき、良い記念となりました。


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