2014年8月山行記録

13.カムイエクウチカウシ山(1979.4m)

Time:
◆8月2日(土)/晴れ時々曇り
苫小牧港1400=1720道の駅「中札内」(夕食)1800=1830札内ヒュッテ(500m)泊
◆8月3日(日)/晴れ時々曇り
札内ヒュッテ520ー700七の沢登山口(590m)710−910八の沢出合(685m)940−1155三股(1000m)1210−1340上部滝の岩場1355−1440八の沢カール(1560m)テント泊
◆8月4日(月)/曇り後雨
八の沢カール400−522カムイエクウチカウシ山(1979.4m)540−655八の沢カール(テント撤収)742−935三股950−1145八の沢出合1200−1355七の沢登山口−1610札内ヒュッテ泊
Notes:
大洗からのフェリー2日夕方便に予約し、5日(火)を登頂予定日として準備していた。しかし、7/30(水)の週間天気予報を見て、5日から天気は下り坂で悪くなり数日は良くならないことが分かり、予定の前倒しを決め出発を2日早めて31日(木)のフェリー便を問い合わせたところすでに満車で、1日早めた1日(金)発フェリーに最終で予約が取れた。

2日(土)、苫小牧港から高速で中札内まで走り、夕食を道の駅でとってから、札内ヒュッテに暗くなる前に着いた。幸いにヒュッテにはだれもいなかったが、駐車場には車がいっぱい駐車している。今日は土曜日だし、最も混む日でもある。しかし、落石のおそれあり通行止(立入禁止)の標識は何なのかという感じです。十勝総合振興局帯広建設管理部のHPには今でも「土砂崩れ、落石のため、徒歩を含めて通行止め」と書かれている。電話で確認しても今工事中で通れませんとの回答でした。ブログ等で皆さん入山していることがわかるので登ることにしましたが、補修は終わったがまだ完全でないということなのでしょうが。
札内ヒュッテ 落石のおそれあり通行止(立入禁止)の標識

することもなく早めに2階寝室で休んでいると、車が1台やってきて、ヒュッテに泊まるという北海道八雲町からの30才台の3人パーティ(男2、女1、写真は一番下にあります)、起きだして明日の予定を聞くと、八の沢カールまで行くという、自分はゆっくり八の沢出合テント場泊と考えていた。八の沢カールは単独だと熊がこわいことと、テントをかついでの八の沢の登り降りがきついため、八の沢出合テント2泊で考えていた。
それなのに駐車場は満車状態 七の沢の入渓地点

3日、3人Pは4時すぎの出発、自分は5時20分の出発、天気は良い。林道歩きは、山崩れの跡はあるが道路は補修されていて問題なく七の沢の入渓地点に着く。古い木に赤字で⇒が書かれている(右上写真)。そして、左上に中止になった日高横断道のコンクリート橋が見える。
七の沢を横断して、沢歩きに入る。今回は全行程を沢靴で通すことにした。何ヶ所か沢の横断、渡渉があるが、中間地点付近の右岸から左岸への渡渉が一番深い。太ももあたりまで入る。その後もずっと左岸沿いに赤布が示してくれる。八の沢出合近くでまた沢を渡り、出合を確認してから、八の沢を渡って左岸のテント場に着く。やはりテント場は満杯だった。沢を歩いていて、八の沢まで順調なので(4時間かからず、まだ午前9時)、八の沢カールまで今日登ることに決めた。八の沢出合では、3人Pに出会った。ちょうど出発するところだったが、1時間ほどあいていたのに追いついたのにびっくりした。
八の沢出合のテント場、満杯 テント場の八の沢

八の沢出合で十分休憩してから、八の沢に入る。カムエクが見えてくる。今日の登頂者は最高の景色を満喫できるであろう。
カムイエクウチカウシ山が見えてくる、今日は好天

倒木が多いのと、沢中の岩上歩行はだんだんと荷物が肩にくい込んでくる。
八の沢は倒木がいっぱい 先行する3人パーティ

三股にちょうど正午に休憩。真ん中の滝の右側、左岸の巻き道を登る。
三股に到着 最初の滝

こんなところを登るのかという崩れた高巻き道もある。背の高い荷物はひっかかる。上部の滝巻き道岩場では、13人のガイド付きパーティが降りてきて、フィックスロープがあるところにザイルを出して一人づつ通過させるもので15分ほど待たされた(右下写真)。一般道であり普通はフィックスロープを伝わって降りればよいのであり、多人数ガイドパーティはよく考えてほしい。
上部の滝 上部の滝巻き道の岩場

荷物の重さを感じたこと、待たされたこともあり、八の沢出合からは、コースタイムをかなりオーバして八の沢カールに着いた。3人Pは既にテントを張り終えており、その横に当方もテントを張った。
カールよりピラミッド峰(1853m)を望む 登頂の済んだ別パーティのテント

昭和45年の福岡大生3名の熊におそわれて死亡した件は、私も大学生の時であり、よく記憶している。ピラミッド峰はよく見えたが、その右、カムエクの稜線はガスってきている。今日は3パーティ6名がカールに泊まる。ありがたいことに、今日は熊の気配は感じられない。
八の沢カールにテントを張る 福岡大ワンゲル部の遭難碑(昭45年)

4日(月)、3人Pはまだ暗い3時?の出発、私は明るくなる4時の出発。すでに1800mから上は雲(ガス)の中。日の出は稜線分岐をすぎて少しのところ、1700m、左下写真は4時24分の撮影。
雲の間からうっすらと日の出の太陽 ガスの中、ぼんやりとしか見えないカムエク頂上

稜線左からの風は強い。頂上直下で3人Pとすれ違い。カムエク頂上に達した、5時22分。ガスで周囲は何も見えないが、テント場から1時間半で到着でき楽な登頂になって良かった。だれもいないが、達成感は十分である。
カムイエクウチカウシ山(1979.4m)登頂 カムエク、一等三角点が読み取れる

八の沢カールでテントを撤収し(この時、八の沢出合から登ってきた単独者に会った。今日の八の沢出合からの登頂者は1名のようです。本日登頂者計5名)、八の沢を下り、八の沢出合がまたちょうど12時の出発で、札内ヒュッテに16時すぎに戻った。4時から16時、ちょうど12時間、足も痛み最後の林道歩きは長かった。
ヒュッテには3人Pはいなかった。町へ降りたと思ったが、夜遅く戻ってきた。ナウマン温泉で汗を流してきたようです。ヒュッテ到着前に一時雨が降り、夕方からは本降りとなり、夜半はかなり雨が降った。天気の悪化が早まったようです。

5日、八の沢出合にテントを張って今日登頂しようと思ってた人、そして、昨日登頂し八の沢出合でテント泊し今日降りる予定の人達が午前8時すぎに下山してきた。沢が増水し、一番深い渡渉箇所では、ガイドがザイルを出し、腰まで浸かって渡ってきたそうです。
明日も天気が良くなさそうで、私は次に予定していたニセイカウシュッペ山に登るのはあきらめた。そして、3人Pが今日これから行くという「六花の森」に一緒させてもらうことにした。
中札内の「六花の森」はお菓子で有名な「六花亭」の管理で、本店が帯広市内にあることを知らなかった。10万平方mの敷地に、十勝六花(エゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイ)などが季節毎に花開き、庭の中にはクロアチアの古民家を移築した美術館が点在している。

中札内の「六花の森」 はまなし(はまなす)

右上写真、我々は「はまなす」であるが、「はまなし(浜梨)」だそうです。木になった実を見れば一目瞭然でその形は「なす」でなく「なし」に近いのはあきらかである。牧野図鑑には、「東北人しをすと発音するより生せし称なり」とある。(坂本直行著より)
ききょう(桔梗) 「六花の森」の散歩道と美術館

美術館には坂本直行記念館をはじめ全部で7館ある。坂本直行氏は「六花亭」の花柄包装紙(右下写真)などで有名です。北大山岳部にも所属されていた。カムエク帰りには、ぜひ立ち寄ってほしい場所です。もう一ヶ所、昼食に案内してもらった「ジンギスカンの白樺?」も美味しく安価でお薦めです。
札内ヒュッテ、八の沢カールで一緒した
若者達と記念写真
六花亭の十勝六花の花柄包装紙
(坂本直行作品)

これらを案内してくれた3名とは中央大学の山岳サークルOBだそうで、八雲町在住は2名で高校の先生に、女性は司法書士さんでした。一人はその先輩で、茨城県在住、東京の大手メーカ勤務の方でした。今回はカールに泊まったことで2日間でカムエクから戻れ、3日目の雨中の沢下りにあうこともなくすんだ。その他にもいろいろと感謝です。

二百名山完登し、やはり最難関はカムエクといえるでしょう。沢登りにテント泊は、ペテガリを凌ぎます。
最後に、北大山岳部部歌「山の四季」から2番歌詞(夏、日高)と、4番歌詞(冬、ペテガリ)を紹介しましょう。
2.沢を登りて 今日五日
  わらじも足に 親しみぬ
  三日三晩の 籠城も
  過ぎて楽しき 思い出よ
  いざ行こう わが友よ
  日高の山に 夏の旅に
  北の山の カールの中に
  眠ろうよ
4.吹雪もやんだ 朝まだき
  凍ったテントを 起き出でて
  はるかに望む やせ尾根は
  朝やけ燃ゆる ペテガリに
  いざ行こう わが友よ
  氷の尾根に アンザイレン
  北の山の 聖き頂
  目指そうよ

今回、カールの中に眠ってきました。


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