2016年8月山行記録

13.剱岳(2999m)北方稜線

Time:
◆8月7日(日)/晴
扇沢900−室堂(2450m)1035−1110雷鳥沢キャンプ場1130−1302別山乗越(2760m)1317−1420剣山荘(2475m)泊
◆8月8日(月)/晴
剣山荘400−520前剱(2813m)525−645剱岳(2999m)705−738長次郎のコル(2875m)748−845池ノ谷乗越(2855m)850−923三ノ窓(2650m、弁当)955−1120小窓(2345m)1125−1145鉱山道取付(2140m)1210−1300池ノ平小屋(2050m)1335−1420仙人池ヒュッテ(2080m)泊
◆8月9日(火)/曇り
仙人池ヒュッテ550−755剱沢渡渉(1660m)825−945ハシゴ谷乗越(2015m)1000−1123内蔵助平(1710m)−1145昼食1210−1338内蔵助谷出合1345−1530黒部ダム(1550m)
Notes:
剱岳には4回登っているが、北方稜線、特に池ノ谷乗越から池ノ平小屋間(三ノ窓、小窓)が未踏として残っていた。チンネ、裏剱をゆっくりと眺めたいし、剱岳から池ノ谷乗越間も自分でルートファインディングしながらトレースしたいと思っていた。4回の内容は、1回目が19才の時に別山尾根通常ルートから、2回目、3回目は20才の時、八ツ峰上半からと、源次郎尾根から、4回目は30才の時に別山尾根からである。

7日、早朝に自宅を出て、扇沢発9時の黒部ダム行きトロリーバスに乗れた。アルペンルートを乗り継いで10時25分に室堂に着いた。室堂は夏の日曜日であり観光客でいっぱいですぐに出発する。
黒部ダム、観光放水中 室堂からの立山

雷鳥沢で簡単な昼食を済ませて、別山乗越まで登ると、剱岳が姿を現す。今日宿泊の剣山荘までの1時間で久しぶりにじっくりと剱岳を眺めた。
別山乗越からの剱岳と八ッ峰を望む 剱岳と剣山荘

剣山荘の受付で明日の予定を話すと、北方稜線はガイド付きでないとダメとの言い方だったが、池ノ谷乗越までの経験があることと、ツェルト他持参しビバークの用意もあることを告げると、しぶしぶ了解した様子だった。小屋は昨日の土曜日の半分程度の宿泊者数とかで、単独者ばかりの部屋で、フトン1枚分のスペースに加え、隣が開いたとびとびの込み具合だった。早く着いたので、シャワーもゆっくりと浴び、その後ビール(500mlカン、800円)で喉を潤した。明日の天気もよさそうです。
剣山荘から望む剱沢小屋と別山

8日、出発は4時、日の出は4時50分頃。一服剱は日の出前に通過し、前剱に着く前に太陽が強く射してきた。前後の登山者にならい、平蔵のコル、カニのタテバイを登った。
前剱からの剱岳 カニのタテバイ上から岩壁を見下ろす

剱岳には7時前に着いた。渋滞もなく順調な登りだった。
剱岳頂上(2999m) 剱岳より立山方向を望む

大勢の登山者の中でひとり「キケン通行止め」と書かれた北方稜線に向かう。剱岳からの下りは急なもろいガレ場で危なっかしいところもあった。長次郎のコルと長次郎の頭が目に入る。ルートを探すがよくわからない。
剱岳三等三角点 長次郎のコルと長次郎の頭を望む

長次郎の左股へ下る踏み跡がある。コルからは急なガレ場を登り、直上する捨て縄のあるルート(主に下降用)は避け、右手の壁から岩棚をトラバースすると高度感のあるリッジをうまく越えて通過できた。最初の難所を短時間で通過でき落ち着く。あとは長次郎谷側の踏み跡を進み、1ヶ所側壁を迂回する(捨て縄あり)個所が難所であったが、通過。右下写真のチンネと八ツ峰の頭が見えてくれば、固定ザイルで池ノ谷乗越に降り立つ。
長次郎左股と八ツ峰下半部を望む チンネ(裏側)と八ツ峰の頭

長次郎の右股は乗越からすぐに雪渓が始まる(左下写真)。反対側は池ノ谷ガリーとその先に小窓の王が大きく立ちはだかる(右下写真)。
池ノ谷乗越と長次郎右股の雪渓 池ノ谷ガリーと小窓の王を望む

振り返れば、今下ってきた池ノ谷の頭からの岩壁が急だった(左下写真)。
ガラガラの不安定な池ノ谷ガリーを30分ほど下れば、待望の三ノ窓に到着する。チンネ、ジャンダルムが圧巻である(右下写真)。ここで山荘からの朝弁当を食べる。池ノ平小屋からの単独者に会う。その前に池ノ谷の頭手前で池ノ平小屋の管理人に出会った。今日、北方稜線で会ったのは、この二人のみである。
池ノ谷の頭から下った岩壁 チンネ、ジャンダルムを望む、左下が三ノ窓

三ノ窓からは池ノ谷側へガレ場を下り、小窓ノ王南壁基部から左上する急峻なバンドを登る。その途中から撮ったのが右上及び下写真です。
池ノ谷ガリーとチンネ(左)、右へ池ノ谷の頭、剱尾根へと続く

小窓ノ王を回り込むと、眼下に小窓雪渓と池平山が見えてくる(左下写真)。稜線を一たん下って、小窓谷側源頭部をトラバースしていく。途中、雪渓を横断すると案内本には書かれているが、今年の少雪の影響か雪渓はなくアイゼンの出番はない。小窓の手前で後ろから人が来る。よく見ると池ノ平小屋の管理人である。もう剱岳を往復してきたというから驚きです。
小窓雪渓と池平山を望む 小窓で小窓雪渓を見下ろす

気になっていた小窓雪渓からの鉱山道取付き点は、池ノ平小屋HPの写真で十分に勉強してきたので、そして今日は天気が良いので、小窓付近でその場所がわかっていたが、先に小屋の管理人が行くのだから間違えようがない。左下写真の鉱山道取付き点まで下って、安心してゆっくりと休む(まだ12時前でもあり)。小窓雪渓の滝もよく見える。
小窓雪渓、鉱山道取付き点のマーク 鉱山道取付き点から小窓雪渓の滝を望む

鉱山道経由して池ノ平小屋には13時に着いた。予定より早いペースで来れた。小屋では管理人さんが心配して待っていてくれた。池ノ平小屋は本日宿泊者がいないそうである(昨日は1名)。コーヒをいただいて小1時間おしゃべりしてから、仙人池ヒュッテに着いた(私はこちらに予約していた)。13時までは晴れていたが、14時はガスッてきて、2100mの小屋から上は曇り、仙人池での写真を期待していたが、ダメだった。この後夜に一時雨が降り、翌日は曇りの天気に変わっていく。仙人池ヒュッテの宿泊者は全部で3名、同じ練馬区からのご夫妻が一緒だった。これだけ宿泊者が少ないのは、理由が大きく二つある。剱沢雪渓が小雪の影響?融雪、崩壊により通行止め、そして、剱沢にかかるハシゴ谷乗越に向かう橋が流失し渡渉して渡らねばならない。仙人池ヒュッテ、池ノ平小屋に泊まるには、北方稜線を越えてくるか、欅平から来るしかないという状況で、欅平からは2日かかるというアプローチの悪さが影響している。宿はシャワーでなく、檜?のお風呂があり、汗を流せる。風呂上りはまたビールです。
鉱山道から八ツ峰6峰(左)からチンネ(中央)、小窓の王を望む 池ノ平小屋の管理人さん

9日、写真も撮れないので、仙人新道を下ると、上の八ツ峰は見えないが三ノ窓雪渓、小窓雪渓は見えてきた(下写真)。
三ノ窓と小窓雪渓 小窓雪渓

剱沢のハシゴ谷乗越への渡渉個所は流された橋のすぐ上流を渡る。登山靴は濡らしたくないので、このために簡単な靴を持参して履き替えた。膝上までの水量だった。
剱沢の渡渉個所
赤ペンキ印とその先の岩が元の橋の位置
内蔵助谷出合で黒部本流を望む

ハシゴ谷乗越、内蔵助平を経て内蔵助谷出合に着く。ここで黒部川本流に合流する。釣り人がテントを張っていた。登りの登山者には内蔵助平で1名出会った。渡渉のことを聞かれた。
黒部ダム下の橋 黒部ダムの放流

最後に黒部ダムの放流を下からながめて、黒部川横断の橋を渡って(上写真)、30分登ると、黒部ダムのバス停に着いた、15時30分。35分のバスに飛び乗る。

扇沢から松川町の「すずむし荘」で、入浴、夕食を済ませ、帰路についた。自宅戻り、22時30分。
仙人池ヒュッテは、48年前、19才の時に宿泊した宿です。ここから裏剱、八ツ峰の岩稜をながめ、このような山々が日本にあることをはじめて認識し、あの山に登れるようになりたいと思うようになった原点の風景です。今回は池ノ平小屋で眺めることができた。
北方稜線と裏剱/八ツ峰の再訪は、永年の課題を果たせた気持ちです。



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