国東半島の旅、5日間

2019年11月26日〜30日

カワカブ会「国東半島の旅」に参加した。小林さんが別のお仕事のため、伊藤さんが幹事(世話役)で、現地在住の船尾さんが企画考案/案内(ガイド)の旅です。参加者は15名(女性9名、男性6名、平均年齢70才)。

26日、飛行機で大分空港に着いたのはちょうど12時頃、昼食の後、宇佐神宮に向かうが、その前に通過地点の豊後高田市真中にある元宮摩崖仏を最初に見学した。元宮摩崖仏は室町時代の摩崖仏で、田染八幡神社の北側の岩壁に不動明王を中心として5体の像が東面して薄肉彫りで刻まれている(下写真)。
元宮摩崖仏、外観元宮摩崖仏

宇佐神宮は全国八幡社の総本宮で、御祭神は、八幡大神(応神天皇)、比売大神、神功皇后の三神、後に石清水八幡宮、鶴岡八幡宮をはじめ全国に4万社あまりの御分社が建てられた。国東半島に六郷満山を開創した「仁聞菩薩」が宇佐神宮の応現だったことは国東仏教文化との深い関係を表す(下写真)。
宇佐神宮、大鳥居宇佐神宮、上宮

国東半島に戻り、今日から4泊する富貴寺付設の旅庵、蕗薹(ふきのとう)に落ち着いた。そして、温泉に浸かった後は、“おもてなしの農家料理”をいただいた。

27日、7時すぎに歩いて2〜3分の富貴寺(天台宗)を訪れた。早朝のだれもいない紅葉の富貴寺にすがすがしい気分で心が満たされた。
富貴寺大堂(国宝)富貴寺、本尊阿弥陀如来

今日はまず高山寺を訪問する。西の比叡山といわれる西叡山標高571mの八合目に位置し、718年、宇佐八幡の化身と言われる「仁聞菩薩」によって開山された六郷満山の本山本寺である。かつての六郷満山最大の寺院で、国東半島を一望できるパワースポットでもある。住職から講和拝聴、彼の前歴をはじめおもしろいお話を伺った(左下写真)。
西叡山高山寺鋸山

次は、岩稜の鋸山縦走トレッキング。登山口を10時半頃に出発し、右上写真の岩稜が見えてくる。いずれあの尾根道を歩く。鎖場などを通過して、1時間少々で大観峰と書かれた田原山(鋸山)542mに着く(下写真)。岩稜も細尾根に鎖場が続き、ちょっとした転倒事故が発生した。登山口に13時40分頃に下山して病院に向かう。昼食はバス中でお弁当のおにぎりをいただく。
田原山(鋸山)542m、大観峰田原山(鋸山)542m、大観峰

鋸山の麓に熊野摩崖仏がある。日本最大級の平安時代後期の摩崖仏で、自然石を乱積にした石段を登りきると、岩壁に高さ約8mの不動明王像、右に高さ約6.7mの大日如来像の2体の巨大な摩崖仏が現れる。
熊野摩崖仏、不動明王像熊野摩崖仏、大日如来像

今日の最後は、田染庄。中世の宇佐神宮の荘園の跡といわれ、集落や水田の位置が平安、鎌倉時代とほとんど変わらずに残されているという。
田染庄(たしぶのしょう)、小崎地区

3日目、28日、朝食後、全員で富貴寺に向かう。住職から講和/お寺の説明を伺う。その後、全員の記念撮影(下写真)。富貴寺大堂は宇治平等院鳳凰堂、奥州平泉中尊寺金色堂と並び日本三大阿弥陀堂の1つに数えられ九州最古の木造建築物です。

富貴寺大堂(国宝)

バスで天念寺に向かう。今日は小雨が降っていることもあり無明橋を越えるトレッキングは中止となりお寺巡りの日となる。天念寺から川を渡り少し登った展望所から無明橋を眺める(左下写真)。そして、長岩屋川の中にある約3mの巨石に彫られた不動明王の川中不動を見学する(右下写真)。天念寺は国の重要無形民俗文化財に指定された修正鬼会の宗教典儀の行われるところです。
無明橋川中不動

天念寺に隣接して歴史資料館があり、そこでいろんな展示物があり勉強になった。昨日熊野摩崖仏のあとに見学したが写真不可だった真木大堂が左下写真です。左から、国指定重要文化財の大威徳明王像、不動明王像、阿弥陀如来坐像です。
バスで移動して無動寺に着く。本尊は不動明王で28日は月例会の日で住職に護摩を焚いていただき、「般若波羅密多心経」を読経し、家内安全、健康第一を祈願した。
真木大堂(歴史資料館パネル展示)無動寺、不動明王像

無動寺のあとは国東半島の中心に位置する両子寺へ。仁聞菩薩が開基の天台宗別格本山。バスを降りてすぐに仁王門、仁王像(左下写真)があり、石段を登りつめると大講堂に出る。ここでも住職から講和を拝聴し、奥の院へと向かう。裏に洞窟があり、不老長寿の湧水が湧出している。
両子(ふたご)寺、仁王像両子寺、奥の院本殿

夕食後、富貴寺のライトアップを見に行く。
富貴寺ライトアップ富貴寺、阿弥陀如来像

4日目、29日(金)午前は猪群山へトレッキング。9時20分に登りだし、10時40分に猪群山(いのむれやま)458.2mに着く。三等三角点があるが、他になにもなく、すぐにストーンサークルに向かう。
猪群山中腹から瀬戸内海を望む猪群山山頂458.2m

ストーンサークル(環状列石、左下写真)は、中央の巨石を中心に、直径30〜40mの円状に16個の巨石を配置している。更に外側に直径約70mの円状をなすように24個の石が配置されている。この内側が神域で祭祀遺跡と思われる。
ストーンサークル、中央の巨石中山仙境から望む山並み

猪群山下山後、夕陽百選にも選ばれている真玉海岸の「そばカフェゆうひ」でゆっくりとお蕎麦のランチをいただく。その後、中山仙境に向かい、岩稜歩きのトレッキング開始。
無明橋を渡る中山仙境の岩稜歩き

中山仙境にも無明橋という石橋を渡るところがある(左上写真)。そして到着した頂上は珍しい四等三角点のある高城といわれる標高316.8mの祠のあるピークです。
中山仙境、高城(たかじょう)ピーク中山仙境、高城四等三角点(316.8m)

最終日、30日(土)、まず千燈岳登山口から五辻不動を訪れた。そして、ハイキングで千燈寺、奥の院を訪れた。千燈寺は仁聞菩薩が六郷満山の中で最初に創建した寺院であると伝えられている。この奥の院すぐ脇にある窟で入寂したと伝えられている(左下写真)。
千燈寺、奥の院岩屋旧千燈寺、仁王像

少し下ると、旧千燈寺伽藍跡があり、一対の仁王像が立っている(左下写真)。
伊美港近くの涛音寮(とういんりょう)カフェでタコめしの昼食後、最後の観光地は国見ふるさと展示館。江戸の殉教者、ペトロカスイ岐部(日本人として初めてエルサレムに足跡を記した人)の展示と公園のペトロカスイ岐部像を見学した。
旧千燈寺、仁王像ペトロ岐部カスイの像

道の駅くにみで、国東半島名物のひじきやシイタケ、柚こしょう等をお土産にして、大分空港に向かった。

神仏習合発祥の地といわれる国東半島の主要名刹を地元ガイドの案内で非常に密度濃く廻ることができた5日間だった。そして、あわせて峯道ロングトレイルと呼ばれる僧侶たちの修行の険しい道をトレッキングで廻った。国東半島のみで5日間は最初は少し長いのかなと思ったが、決してそんなことはなかった。富貴寺付設の宿泊施設に定着してじっくりと見ることができた。お世話していただいた伊藤さん、地元ガイドの船尾さんに感謝です。


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