東北の三百名山(五葉山、泉ヶ岳、大滝根山)と
東日本大震災の遺構、津波、災害伝承館

2022年11月6日〜10日

6日早朝に自宅を出て、東北道から仙台南部/東部、三陸自動車道を経由して、南三陸町にある「道の駅、さんさん南三陸」に昼過ぎに着いた。昼食に「海鮮ちらし」をいただいた後、行動開始。

南三陸町は東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた。隈研吾氏設計という中橋(右下写真の橋)を渡って「震災復興祈念公園」を見学する。広いスペースの「祈りの丘」があるが(橋の向こう側)、目立つのは「旧防災対策庁舎」です(右下写真では堤防の先に最上部のみ顔をだしている)。
道の駅、さんさん南三陸南三陸町震災復興祈念公園を望む

3月11日の大津波で庁舎屋上に避難した43名が犠牲になった建物です。屋上に立つアンテナにしがみついた10名の方のみが生き残った。高さ12mの防災対策庁舎に15m強の津波が押し寄せた。
道の駅の隣りに、「南三陸311メモリアル」という建物があり、展示の他に「ラーニングプログラム」という講座を新しく始めたと聞いていたので、うまく時間があい「60分プログラム」に参加した。「”自然とは、生きるとは”に思いを馳せ語り合う」がコンセプトの企画です。
旧南三陸町役場、防災対策庁舎、震災遺構同左、震災時の写真

気仙沼市に移動。気仙沼市の大震災遺構は被災した気仙沼向洋高校の校舎をそのまま残し、目に見える形で震災の被害をのちの世に伝える施設です。被災した4階、屋上まで見学できる。校舎内に運ばれてきた車などがそのまま残されている。校舎は被災したが、生徒達は全員近くの高台の山から安全な場所に避難できた。また校舎内に残った職員や工事関係者の人達は屋上避難で生き延び翌日に救助された。水は4階まで達したがセーフだった。
気仙沼市東日本大震災遺構伝承館
破壊された校舎
津波により運ばれてきた車

気仙沼市内で宿泊し、7日は岩手県大船渡市まで三陸道を走って、五葉山に向かう。登山口は赤坂峠、モダンな建物のトイレがある。先行車はなかったが、すぐに奥州市からの女性2名が来て、ほぼ同時に登りだした。各合目の表示、畳石の分岐を経て、石楠花荘までくれば山頂は近い
五葉山登山口、赤坂峠石楠花荘

すぐに日枝神社のある主稜線に至り、リアス式の海、太平洋が一望できる。
大船渡方面の太平洋を望む日枝神社

五葉山山頂までは10分とかからない。一等三角点があり、早池峰山が望める。少し先に最高点の日の出岩があるというので、行ってみる。下山は来た道を戻った。
赤坂峠835−1042五葉山1110−1240赤坂峠
五葉山山頂(1340m)、一等三角点日の出岩(最高点、1351m)

下山後は、陸前高田市の「道の駅 高田松原」と「いわてTSUNAMIメモリアル 東日本大震災津波伝承館」が一緒になった施設に向かう。道の駅では食事、伝承館では展示が見られる。その前面が「高田松原津波復興祈念公園(国営追悼・祈念施設)」になっている。
高田松原津波復興祈念公園、津波防波堤破壊されたユースホステル、震災遺構

広い津波浸水区域を利用して古川沼も含めて公園が造成され、追悼の広場がある。その気仙川よりに、市の象徴であった高田松原も失なわれてしまったが、唯一耐え残った「奇跡の一本松」を保存することになった。また破壊されたユースホステルが遺構として残されている。
奇跡の一本松「奇跡の一本松」案内板

高田松原の後は、石巻震災遺構 大川小学校(74名の児童と10名の教職員が犠牲になった)を予定していたが、道の駅 上品の郷まで行ったが、時間切れで暗くなり、あきらめて石巻市内のホテルに宿泊した。

8日は仙台市の西北にある泉ヶ岳に向かう。三陸道、仙台北部道、東北道を経て、泉ヶ岳の登山口、芳の平の広い駐車場に着いた。スキー場と泉岳自然ふれいあい館がある。水神コースを登る。沢沿いの雑木林は紅葉がほどよく最初は平坦な道で歩きやすい。
泉ヶ岳、芳の平駐車場水神コース入口、紅葉の感じが良い

水神と自然石に彫りこまれた碑のあるところから傾斜が急になり1時間近く行くと泉ヶ岳山頂に達した。二等三角点は少し離れたところにある。仙台市内から近いので何人もの登山者と会った。
泉ヶ岳山頂(1172m)泉ヶ岳を振り返る@兎平

下山はかもしかコースを下る。途中、岡沼で傾斜がゆるみ、兎平あたりからは泉ヶ岳の姿をながめられる。リフト上駅付近からは下のスキー場、仙台方面の展望が良くなる。
駐車場835−1037泉ヶ岳1050−1210駐車場
リフト上からスキー場、仙台方面を望む泉ヶ岳スキー場に下山

登山後、名取市の震災復興伝承館を見に行ったが、あいにく団体予約のため終日休館だった。名取川沿いを散歩し、近くの復興商店街「かわまちてらす閖上」でクーポン券で買い物をした(宮城県内のみ全国旅行支援が有効だった)。今日は早めに名取市のホテルにチェックインできた。
名取市震災復興伝承館名取川と海を望む

9日は常磐道を走って福島県内に入り、双葉町の「東日本大震災、原子力災害伝承館」を訪れた。大津波による原子力発電所の事故という複合的かつ甚大な被災の経験を次世代に継承する施設で、映像も交えた展示によって被災の実情・復興への取り組みを伝えている。「語り部講和」なども拝聴し、じっくりと時間をかけて見学した。大型バスでやってくる団体、修学旅行生なども多い。
次に「浪江町立請戸小学校の震災遺構」に立ち寄った。海に近く2階建ての小さな小学校で、もちろん校舎は全面的に被災したが、教職員の迅速な判断で児童93名全員が奇跡的に無事避難することができたことが語られていた。この後、浪江町の「道の駅 なみえ」で名物の「なみえ焼そば」を食した。そして、また常磐道を走り、いわき市内のホテルに落ち着いた。今日も早く着き、移動・休養日でした。
東日本大震災、原子力災害伝承館@双葉町浪江町立請戸小学校、震災遺構

10日は大滝根山に登る。小野ICから登山口のあぶくま高原ホテル跡に8時40分頃に着いた。9時前の出発で、賽の河原という地蔵尊のある分岐点を過ぎ、次に子育て地蔵尊を過ぎると急坂になり、やがて大滝根山山頂に到着する。
大滝根山登山口、旧ホテル跡大滝根山山頂、峯霊神社

大滝根山は阿武隈山地の最高峰であり、峯霊神社の裏手に一等三角点があるが、航空自衛隊のレーダ基地内であり、遠くから眺めることしかできない。但し、写真はフェンスの上から撮れる。下りは仙台平方面に進み、日山権現を経由し、賽の河原で行きの道に合流する。
大滝根山山頂(1192m)、一等三角点これより先立入禁止、航空自衛隊

ホテル跡857−1015大滝根山1030−1127ホテル跡
登山口から車で下る途中に仙台平という展望所がある。ここから大滝根山が望める。
大滝根山の表示はこの標柱のみ仙台平から大滝根山を望む

さらに下ると「入水鍾乳洞」がある。A,B,Cの3コースあるが一般向けのAコースに入ってみる。川の流れる鍾乳洞です。平日でだれにも会わなかった。もう一つ「あぶくま洞」という鍾乳洞が近くにあり、こちらの方が大きく行きやすいこともあり一般的と思われる。
入水鍾乳洞入水鍾乳洞の案内地図

常磐高速道を走って夕方6時頃に帰宅した。

天気に恵まれ5日間雨なし。天気予報の心配の必要がなかった。ナビが古いので、新しい三陸道、道の駅、震災関連施設、ホテルなどで道迷いが何度もあったことが苦労した点です。東北の三百名山3山と大震災関連施設をコンパクトに廻れた点は良かった。


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