ルウェンゾリ(5109m)登頂とナイル源流の旅(その4)

最高峰マルゲリータ峰登頂へ

2月18日夕方、7〜8時頃から雪が降りだす。夜半も降り続きトイレに外に出るたびに雪が増える。19日早朝の4時過ぎ予定の時刻にNASONIが今日のアタックについて相談にくる。「今日のアタックは中止、明日に延期」を伝える。積雪は10cmほどある。
前日18日エレナ小屋に着いた時、小屋にはイスラエル君が1人いた。聞くと、17日はブジュク小屋から直上ルートで頂上をねらったが無理でエレナ小屋に転進した。昨18日は再度頂上をねらったが天気が悪く引き返したと、そして今日が最終アタック日であるとのことでした。結果は今日も天気が悪く下山を決定し、朝8時前にガイドと下山して行った(左下写真)。結局彼にとっては、3日間悪天が続いたことになる。
NASONIからは天気が良くなれば、8〜9時に出発しても頂上往復可能だとの話があったが、断った。天気は一時晴れ間も出て上部が見えることもあった(右下写真)。しかし全体的にはガスでおおわれていた。

イスラエル君無念の下山へ一面雪でおおわれたエレナ氷河へのルート

16時頃NASONIとJOMADOが明日の打合せにきた。頂上アタック後、直上ルートを使ってブジュク小屋まで降りる案であったが、これも断った(20日ブジュク小屋泊は当初の予定)。我々は明日もエレナ小屋に泊まりたいと伝えた。そのためには燃料他少々の荷揚げが必要なるそうだが、むつかしい話ではない。
エレナ小屋内部の様子は右下写真で、先着者であったので、3人でゆっくりと泊れた(写真右下が食事用テーブルです)。この日、2パーティーが登ってきた。2人の外国人ペアーは我々の部屋の裏にある半分ほどのスペースの部屋に入った(話し声がするのみで顔は会わさず)。ドイツ人2名隊は下にテントを張った。

上からエレナ小屋を一望するエレナ小屋内部の様子

20日、朝4時、小屋内の気温は−5℃。エレナ小屋出発は6時15分。天気は曇りでガスっている。ドイツ2名女性隊(+ガイド2名)が先に登っていく。ヘッドライトを点けてその後を追っかける形で我々も出発。すぐにフィックスロープがあったが、ロープをつかんで登る。ドイツ隊を抜き、エレナ氷河を右に巻いた岩稜のコルで小休止、ライトを外す。続いて、左下写真の岩稜帯の登りが続き、スタンレー氷河に達する。

岩稜を登る小休止

<スタンレー山塊概念図>

スタンレープラトーを1時間ほど歩いた9時頃、下降点に到達し、アンザイレンに入る(左下写真)。我々3人+3人ガイドの6人縦列である。その間に、ドイツ隊が先行する。マルゲリータ氷河へのこの下降で、ロープをフィックスし通過するのに、日本隊のガイドも協力しているようであるが先行ドイツ隊がなかなか前に進まない。我々は待たされちょうど風も吹き寒さを感じるが先行部の様子がよくわからないのでイライラする情況が続く。どれくらいの時間がかかったのか、やっとのことでマルゲリータ氷河に降り立つ。その降り立つ部分が、岩と雪面が1mほど空いており飛び降りる形になる(フィックスロープを張っている)。
マルゲリータ氷河で我々日本隊がやっと先行することができた。ところどころにクレパスがあるが、それほど大きいものではないので慎重に渡る。12時頃でもまだガスの中で頂上は見えなかった(右下写真)。

アンザイレン、氷河への下降に移るマルゲリータ氷河の中、見通し悪い

12時20分頃、突然頂上が見えだす(左下写真)。頂上は近い、元気が出る。最後までマルゲリータ氷河をつめて、右へトラバースに入る。昨年の日本隊が引き返したというトラバース箇所(右下写真)は、それほど問題なく通過できる。


マルゲリータ峰が見える、直下トラバース箇所もトラバース箇所

後は、フィックスロープ帯を登り、岩稜をつめれば頂上に達した。13時35分。頂上標識の前に座り込んで記念写真を撮ってもらった。

マルゲリータ峰頂上(5109m)、Tさん、Sさん、私とガイドのNASONI、2012.2.20.13.40

MARGHERITA PEAK の標識、ルウェンゾリの山名は、1906年のイタリア、アブルッツイ公爵隊がすべての名前を決めた。この隊はマルゲリータ峰の初登頂のみならず、全部で15のピークに初登頂している。マルゲリータは当時のイタリア皇后の名前、アレキサンドラは当時のイギリス皇后の名前です。ウガンダは当時、イギリス保護領であった。

マルゲリータ峰頂上頂上の標識

13時55分、ドイツ女性隊の登頂にあわせて頂上を後にした。アレクサンドラ峰だけでなく(右下写真)、我々が通ってきたスタンレー氷河、マルガリータ氷河がよく見える(左下写真)。それにしてもスタンレー氷河からマルガリータ氷河への下降は、写真を見てもむつかしい場所であるのは確実で、氷河の消えた現在はマルガリータ氷河からブジュク小屋へ直接降りるルートが開発されたのはうなずける(但し、今回当地へ来てはじめてこのルートのことを聞いたので詳細は知らない)。

スタンレー氷河(上)、マルガリータ氷河(下)
中央の岩稜がアレクサンドラ東南稜
アレクサンドラ峰(5091m)を望む

マルゲリータ氷河からは、スタンレー氷河上に、モエビウス、エレナ、ザボイアの各峰が望めた(右下写真)。
スタンレー氷河への登り返しは、フィックスロープにユマールをかけて登った。

固定ロープの下降モエビウス、エレナ、ザボイアの各峰

スタンレー氷河を下り岩稜帯に入ったところでパトロールのヘリコプターが飛んできた。一休みして振り返ってみると、ルエンゾリ、いつも見ることのできない「幻の月の山」が登頂を祝福し、また来いよと言っているように感じられた(下写真)。

右マルゲリータ峰、左アレクサンドラ峰、その左スタンレー氷河上にドイツ隊が見える

スタンレー氷河からは3人それぞれのペースで下山した。エレナ小屋戻りは17時30〜55分、ドイツ隊は19時10分でした。

ルウェンゾリ登頂とナイル源流の旅(その5 )へ 続きます。

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