2013年9月山行記録

19.ペテガリ岳(1736.2m)

Time:
◆9月4日(水)/曇り後雨
ニシュオマナイ川林道工事通行止で駐車(270m)1330−1450カムイ山荘分岐(360m)1455−1622尾根乗越(645m)1630−1805ペテカリ山荘(400m)泊
◆9月5日(木)/雨後晴れ時々曇り
午前5時時点で雨、登山延期に決める、ペテカリ山荘泊
◆9月6日(金)/晴れ後曇り
ペテカリ山荘450−620コブ1050(1050m)625−650コブ1190(1190m)710−757コブ1293先のコル(1160m)805−855コブ1301手前のP(1300m)900−1100ペテガリ岳(1736.2m、昼食)1130−1240コブ1301(1301m)1245−1505コブ1050(1050m)1510−1630ペテカリ山荘泊
◆9月7日(土)/曇り
ペテカリ山荘450−702尾根乗越(645m)708−817ニシュオマナイ川渡渉825−830カムイ分岐−1005林道通行止駐車場所
Notes:
9月3日に暑寒別岳に登った(1309暑寒別岳、参照ください)。そして4日、7時前に民宿を出た。相変わらず雨が降り続いている。高速走行中は大雨になったが、日高の方に来ると止んできた(天気予報もその通りで、期待していた)。静内、三石の道の駅に立ち寄ったが、晴れてきて暑いという感じ。道の駅で昼食を済ませ、浦河町荻伏から道々348号に入り、カムイ山荘近くの登山口に向かう。
元浦川、ニシュオマナイ川林道を走っていると、「工事中通行止」の看板が出てきた。行けるところまで行こうと更に進めると、道の真ん中に砕石が置かれ通せんぼされている。何とか路肩右側を通過できたが、最後に実際の工事現場が出現、ストップした。現場監督と話して、カムイ山荘分岐まであと約6kmを確認して、ここに車を駐車することの了解を得て、ここから徒歩で出発することにした。1ヶ月ほど前に事前確認で日高南部森林管理署に電話したときの話では、カムイ山荘分岐の少し手前(数百米くらい)で車を駐車してもらうことになると聞いていたが、6kmはまた別の話で、夏の登山期間が終わり9月2日から林道工事を開始したことになる。事前確認の時は、8月末に行くつもりでいたので、9月からのことは確認しなかった。


カムイ山荘分岐からペテカリ山荘までは3時間半となっており、それに6kmの林道歩きを加えると約5時間の行程になる。すでに13時30分、日の入り時刻が18時すぎであり、暗くなるまでに着けるか微妙である。また、夕方から明朝まで雨が降ると予報されており、この点が一番憂慮された。
カムイ山荘分岐まで予定の1時間半以内で到着。まずいことに雨が降り出した。カッパ上下を着る。右下写真の真ん中の小さな看板に、左:ペテカリ山荘と書かれている。
林道工事箇所 カムイ山荘とペテカリ山荘の分岐

すぐにニシュオマナイ川を渡る(左下写真)。数日雨が降っており、一見してこれは濡れないで渡ることは無理と判断して、時間もないので渡りやすそうな場所をさがして、登山靴のまま渡渉する。膝上くらいまでつかり、靴の中まで十分水は入った。
尾根乗越までは小沢沿いに雨のため川になった沢の中を歩く。すでに一度靴中まで水が入っているので、後は沢水をかまうことなく歩く。赤布が頼りです(下の方の、「ニシュオマナイ川の小沢」写真参照)。雨も強くなり、コルまで必死で登る。さいごは滑る急坂をつめて尾根乗越に着く。コルに着いてほっとした。ほぼコースタイム通りであり、あと2時間、18時30分までに着ける見通しがついた。
ペッピリガイ沢の下りはそれほど問題なく林道に飛び出した。ペッピリガイ沢川の渡渉(右下写真)は、すでに先に水に浸かっているので、そのまま水の中を渡渉する。
ニシュオマナイ川の渡渉 ペッピリガイ沢川の渡渉

後は林道歩きで、18時すぎに少し暗くなったペテカリ山荘に着いた(左下写真)。濡れた上下衣類を着替える。ペテカリ山荘には、毛布、マットがあり、シュラフ、エアーマットは持参する必要がなかった(一人や二人の宿泊の場合)。暖かく寝られた(宿泊協力金一人一泊500円)。

5日は午前5時の出発時点で雨が止んでいたら出発であったが、雨は降り続き延期を決めた。7時すぎに止んできた。天気予報は当たっている。予報ではこのあと明日6日まで晴れが続く。期待する。5日は最初は晴れの予報だったが、台風17号の影響で夜中に前線が通過した。靴、靴下、衣類を天日乾燥させる。ちょうど停滞日によい本が置いてあった。深田久弥の「シルクロード」を読んですごす。
ペテガリの山名は「ペツ・エ・カリ(川がそこで回っている川)」からきていると言われており、山名はペテガリ岳が一般的だが、地元ではペテカリ岳とし、山荘名は、山荘の看板に従い「ペテカリ山荘」とする。
ペテカリ山荘(5日撮影) ペテガリ岳登山口(5日撮影)

6日、天気は良さそう。5時より少し早く出発する。小沢沿いから尾根への道はジグザグ道で歩きやすい。1050mコブ手前で朝露に少し濡れたが、順調に1050mコブに着いた。しかしこの後が違っていた。道も狭くなり、熊笹が道をふさぎ、その朝露に全面的に濡れる。はんぱじゃない。急坂で途中でカッパを着る機会を逃し、1190mコブで休み、靴をぬぎ、靴下はもちろん、ズボンまでぬいで雑巾のように絞り、再度着用し、その上からカッパ上下を着る。
1293mコブをすぎて、はじめてペテガリ岳と対面できた(左下写真)。その右には1301mコブまでの西尾根ルートが見える(右下写真)。
1293mコブをすぎて、
はじめてペテガリを見る
1301mコブを望む

更に右に目を移せば、ペッピリガイ山が目線とほぼ同じ高さに望める(左下写真)。西尾根ルートは長い、登り6〜7時間と言われている。
ペッピリガイ山(1307.7m)を望む ペテガリ岳を望む(1293と1301の中間から)

1301mコブ近くからのペテガリ岳と中ノ岳です(下写真)。ここで暑くなり、カッパを脱ぐ。
ペテガリ岳を望む 中ノ岳を望む

1301mコブにくると、ペテガリ岳がかなり近づいたと感じる(左下写真)。しかしこの下にコルからは、まだ500m以上ある。コルからの登りではまた朝露がはげしいので、カッパを即着る。最後の斜面を登りだし振り返ると、太平洋が見えている(右下写真)。
1301mコブよりのペテガリ岳 太平洋が見える

最後の斜面はかなり急で、熊笹と下の道の悪さでかなりてこずる。やっとの思い出ペテガリ岳の頂上に着く(右下写真)。
ペテガリ岳が近い ペテガリ岳頂上(1736.2m)

ペテガリ岳は二等三角点の山、来年登る予定のカムイエクが一等三角点の山です。1700mから上、ガスってきて、周囲の展望が効かなくなる。30分昼食休憩の後、下山する。
ペテガリ岳二等三角点 ペテガリ岳記録写真

登り6時間のあとの下り、昔ねんざした左足首がチョクチョク痛み、左足をストックでかばいながら下りた。ために、少し時間がかかり、下山に5時間を要した。16時30分の下山、やはり5時出発は必須です。

7日、駐車している車のところまで5時間の行程、やはり5時の出発です。天気は曇り、午後からは雨がくる感じ。帰りはペッピリガイ沢の小沢の登りでてこずった。林道から小沢に入り、赤布に従って登っていたが、赤布がなくなった。おかしいと思い最後の赤布まで戻りいろいろ捜すがなかなか見つからない。最後に小沢が三つに分かれている左の枝沢の低い木の下に見つけた。まっすぐに行くと右の枝沢に入ってしまう踏み跡になっている。赤布を見つけだし、尾根乗越に着き、またほっとした。来る時に通った道にてこずるとは。
ペッピリガイ沢では写真を撮れなかったので、反対のニシュオマナイ川の方で、小沢の様子を分かるように写真を撮りました。
ニシュオマナイ川の小沢 ニシュオマナイ川の小沢

2箇所の渡渉は、ペッピリガイ沢は石を伝って濡れずに渡り、ニシュオマナイ川は川の中を靴のまま渡渉した。10時すぎに工事通行止の駐車場所に戻った。予定が1日遅れたので、工事関係者は心配してくれていたようです。
ニシュオマナイ川渡渉箇所 工事通行止の駐車場所

道の駅みついしの昆布温泉蔵三で4日間の汗を流し、静内のGSで洗車してから苫小牧まで走り、その日のフェリーで東京に戻った。

はるかなる山、ペテガリ岳。学生時代からの「憧れの山」の一つでした。冬季初登頂は昭和18年の北大山岳部で、西尾根からでなく北のコイカクシュサツナイ岳からの往復15時間にわたる苦闘の末であったと聞いている。その3年前には雪崩で8人の犠牲者を出している。身近なところでは、京大山岳部で昭和42年3月に滑落による1名遭難死があった。そして、北大山岳部部歌の冬のペテガリの歌詞の影響であろう、あこがれの山であった理由は。
ペテガリ岳で二百名山は199山となり、あとはカムイエクウチカウシ山のみとなった。来年のお楽しみにとっておこう。今年入山不可になり、逆によかったような気がしてきた。それにしてもペテガリ岳は二百名山で私にとっては最も厳しい山であった(雨のため入山に苦労し、登頂日はヤブコギ、朝露に)。カムイエクとどちらが最難関となるであろうか?


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